「中国旅行、ネットってどうすればいいですか?」
これ、Alipayの次くらいに多い質問です📱
現地でSIMカードを買えばいいのか、話題のeSIMを事前に買っておくべきなのか、それとも日本のスマホをそのまま持っていけばいいのか。調べれば調べるほど情報がバラバラで、結局よくわからないまま出発日が近づいてくる——という人をたくさん見てきました。
私は中国・深圳に住んでいて、日本から遊びに来る友人のネット環境の相談に毎月のように乗っています。そこで感じるのは、多くの人が「安さ」や「速さ」で選ぼうとして、いちばん大事なポイントを見落としているということです。
中国のネット選びで最初に見るべきなのは、料金ではありません。「その回線は、どこから世界に出ていくのか」です。
この記事では、中国で使える4つの選択肢を、費用・手間・ネット規制の回避という3つの軸で比較していきます。読み終わるころには、自分がどれを選ぶべきか決まっているはずです😊

🚦 大前提 — 中国は「回線の出口」でネットの中身が変わる
中国には「グレートファイアウォール」と呼ばれるネット規制があります。Google、LINE、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、Gmail——日本で毎日使っているサービスの大半が、中国国内からは開きません。
ここで多くの人が誤解しているのですが、この規制は「中国にいるかどうか」ではなく「どの回線を通っているか」で決まります。
同じ深圳のカフェの同じ席で、私のスマホではLINEが動いて、隣に座った友人のスマホでは動かない。そんなことが普通に起きます。違いは回線だけです。
| 回線の種類 | データの出口 | LINE・Googleは? |
|---|---|---|
| 🇨🇳 中国の現地SIM | 中国国内 | ❌ 開かない(VPN必須) |
| 📶 日本キャリアの国際ローミング | 日本(契約キャリア) | ⭕️ 基本的に使えることが多い |
| 💳 旅行者向けeSIM(壁越え対応) | 香港・シンガポールなど国外 | ⭕️ 使えることが多い |
| 🏨 ホテル・カフェのWi-Fi | 中国国内 | ❌ 開かない(VPN必須) |

📊 選択肢は4つ — まずは一覧で比較
中国で使えるネット手段は、大きく4つです。それぞれの性格がかなり違います。
| 手間 | 費用の目安 | 規制回避 | 中国の電話番号 | |
|---|---|---|---|---|
| ① 日本キャリアのローミング | ◎ 何もしなくていい | プランによる(0円〜1日980円前後) | ⭕️ 期待できる | ❌ |
| ② 旅行者向けeSIM | ○ 出発前に設定 | 1週間 1,000〜3,000円程度 | ⭕️ 商品による | ❌(データ専用が多い) |
| ③ 中国の現地SIM | △ 現地で手続き | 数十元〜 | ❌ VPNが必須 | ⭕️ |
| ④ 香港SIM・レンタルWi-Fi | ○〜△ | 商品による | ⭕️ | ❌ |
「結局どれ?」の答えは滞在日数と契約キャリアで変わります。順に見ていきましょう。
📶 ① 日本キャリアの国際ローミング — 一番ラクで、一番失敗しない
設定も購入もほぼ不要で、日本と同じ感覚で使える。 短期旅行なら、私はこれを第一候補として勧めています。
日本のキャリアの回線を借りる形になるので、通信は日本のネットワークを経由します。結果として、中国国内にいながらLINEもGoogleも普通に動くことが多いというわけです。
主なプランの特徴
| キャリア | 中国での扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| ahamo | 月のデータ量をそのまま海外でも使える(追加料金なし) | 海外利用開始から15日を超えると128kbpsに制限。帰国するまで解除されない |
| 楽天モバイル | 毎月2GBまで追加料金なし・申し込み不要 | 2GBを超えると通信速度が制限される。追加はチャージ扱い |
| povo2.0 | 「海外ローミング」トッピングを購入して使う | 事前購入が必要。エリアと日数の組み合わせを間違えないこと |
| docomo / au / SoftBank | 「世界そのままギガ」「世界データ定額」「海外あんしん定額」など、1日980円前後の定額 | 日数が伸びると割高。申し込み忘れに注意 |
ahamoユーザーが見落としがちな「15日ルール」
ahamoは中国旅行と相性が良いのですが、長期滞在には向きません。
海外でデータ通信を始めた日から15日が過ぎると、通信速度が最大128kbpsに落ちます。しかもこの制限、データ容量を追加購入しても解除されず、日本に帰国するまで続きます。
128kbpsというのは、LINEのテキストがなんとか届く程度の速度です。地図も配車アプリも実用にはなりません。2週間を超える滞在を予定している人は、次のeSIMを併用する前提で考えてください。
💳 ② 旅行者向けeSIM — 安さと壁越えのバランス型
ここ数年で一気に主流になったのが、旅行者向けのeSIMです。ネットで購入するとQRコードが送られてきて、それを読み込むだけで回線が使えるようになります。物理的なカードの抜き差しは不要です。
仕組みとしては、スマホは中国の基地局の電波を掴むけれど、データの出口だけが香港などの国外に用意されているという形。だから中国にいながら規制の外に出られます。
購入から使い始めまでの流れ
eSIMを選ぶときのチェックポイント
- 🔓 「中国でVPNなしにGoogle・LINEが使える」と明記されているか(ただの中国国内回線を売っている商品もあります)
- 📡 テザリング(インターネット共有)が可能か — 家族と分け合うなら必須
- 📅 有効期限のカウントがいつ始まるか — 購入時か、初回接続時か
- 📱 自分の端末がeSIM対応か — iPhoneならXS以降、Androidは機種によります。SIMロックがかかっていないことも条件です
🇨🇳 ③ 中国の現地SIM — 長期滞在者向け。旅行者にはおすすめしない
中国移動(China Mobile)、中国聯通(China Unicom)、中国電信(China Telecom)の3社が、中国の携帯キャリアです。街のいたるところに直営店があります。

正直に言うと、短期旅行者にはおすすめしません。 理由は3つあります。
理由① ネット規制をまともに受ける
現地SIMは中国国内の回線そのものです。LINEもGoogleもInstagramも開きません。使うならVPNが必須になります。
理由② 手続きが重い
外国人がSIMを契約するにはパスポートによる実名登録が必要です。しかも受け付けているのは大手の直営店が中心で、街の小さな携帯ショップでは断られることが多い。窓口では顔写真の撮影を求められることもあります。
さらに厄介なのが支払いで、Alipayや中国の銀行口座での決済しか受け付けない店舗が少なくありません。 ネットが使えないから店に行ったのに、支払いにネットが要る、という順番の問題にぶつかります。

理由③ 到着直後は結局ネットがない
空港に着いてから店を探して、行列に並んで、書類を書いて……となると、入国してから1〜2時間はネットなしで動くことになります。 タクシーも配車アプリも地図も使えない状態です。

🛫 ④ 香港SIM・レンタルWi-Fi — 特定の条件で強い
香港SIM
香港は中国本土とネット環境が別で、グレートファイアウォールの外側です。香港のキャリアが出している中国本土対応のプリペイドSIMは、本土で使ってもローミング扱いになるため、規制を受けずに使えることが多いという特徴があります。
香港経由で中国に入る人には現実的な選択肢です。香港から中国へ高鉄で陸路入国する ルートを使うなら、香港側で調達してしまうのもアリです。
レンタルWi-Fi
昔ながらの選択肢ですが、まだ生き残っています。強みは複数人でシェアできることと、自分のスマホの設定を一切いじらなくていいこと。
弱点は、端末を持ち歩く手間・充電・返却・紛失リスク・そして料金です。1人旅ならeSIMのほうが安くて身軽です。 家族4人で行く、スマホの設定が苦手、といった場合には検討する価値があります。
🎯 結論 — タイプ別のおすすめ
ここまでを踏まえた、私の結論です。
| あなたのタイプ | おすすめ |
|---|---|
| 🧳 ahamo・楽天モバイルを使っている(1週間以内) | そのままローミングでOK。何も買わなくていい |
| 💼 docomo/au/SoftBankの本体プラン(1週間以内) | 1日980円×日数は高い。eSIMのほうが安上がり |
| 📅 2週間以上の滞在 | eSIM一択。ahamoの15日制限に引っかかる |
| 👨👩👧 家族・グループ旅行 | テザリング可のeSIMを1枚、または人数分の安いeSIM |
| 🏢 駐在・留学・長期滞在 | 中国の現地SIM + VPN。中国の携帯番号は必須 |
| 🎥 SNS運用や動画配信をする | eSIM+VPNの二重体制。片方が不安定でも詰まない |
🛡️ で、VPNは結局いるのか
「eSIMで壁越えできるなら、VPNはいらないのでは?」とよく聞かれます。
私の答えは、「メインの回線とは別に、保険として1つ入れておくべき」です。理由は3つあります。
- 🏨 ホテル・カフェ・空港のWi-Fiに繋いだ瞬間、規制の内側に戻る。 これは避けようがありません。Wi-Fiを使いたい場面は必ず来ます
- 📉 eSIMやローミングの壁越えは「保証されたもの」ではない。 規制の運用は時期によって変わり、去年使えた方法が今年もそのまま使える保証はありません
- 🇨🇳 現地SIMを使うなら、そもそもVPNなしでは何もできない
つまり、eSIM/ローミングは「通信を確保する手段」、VPNは「規制を確実に越える手段」。役割が違うので、両方あると崩れません。
VPNの選び方や、中国で繋がりにくくなったときの対処法は 中国でLINE・Instagram・Googleを使う方法 — VPN設定完全ガイド にまとめています。
❓ よくある質問
Q. 中国のSIMを買わないと、AlipayやWeChatは使えませんか? A. いいえ。日本の電話番号のまま登録できます。 中国の番号は必要ありません。設定手順は Alipayの使い方 を参考にしてください。
Q. eSIMだと電話番号はどうなりますか? A. 旅行者向けeSIMの多くはデータ専用で、電話番号はつきません。日本の番号あてのSMSや着信を受けたい場合は、日本のSIMを「データ通信オフ・音声とSMSはオン」の状態で残しておけば受け取れます(着信料はかかります)。
Q. 香港・マカオは同じ扱いですか? A. ネット規制の面では別扱い(規制なし)です。ただし通信プランのエリア区分では中国本土と別になっていることが多いので、両方行くなら対象エリアに香港・マカオが含まれているかを必ず確認してください。
Q. データローミングをオンにすると勝手に高額請求されますか? A. 定額プランやトッピングに加入していれば大丈夫です。危ないのは未加入のまま通信してしまうケース。出発前に加入状況を確認し、使わないSIM側はデータ通信をオフにしておきましょう。
Q. 中国国内でGoogleマップは使えますか? A. 壁越えできる回線なら開きますが、中国国内のマップデータ自体が実用的ではありません(位置がずれる、店舗情報が古い)。現地では中国の地図アプリを使うのが正解です。
✅ まとめ
最後に、この記事の要点を整理します。
- 🚦 中国のネットは「回線の出口がどこか」で規制されるかが決まる。まずここで候補を絞る
- 📶 ahamo・楽天モバイルなら、1週間以内の旅行はそのままローミングでOK。いちばんラク
- ⏳ ahamoは海外利用15日で128kbpsに制限。しかも帰国まで解除されない。長期滞在は要注意
- 💳 eSIMは必ず日本を出る前に購入・設定する。現地に着いてからでは買えない
- 🏨 eSIMやローミングの壁越えが効くのはモバイルデータ通信のときだけ。ホテルWi-Fiに繋いだら規制の内側
- 🇨🇳 現地SIMは長期滞在者向け。パスポート実名登録が必要で、VPNも必須
- 🛡️ VPNは「保険」として入れておく。回線とVPNは役割が違う
中国のネット環境は、準備さえしておけば何も怖くありません。逆に、何も準備せずに着いてしまうと、地図も配車も決済も動かない状態で空港に立ち尽くすことになります。
やることは意外とシンプルです。自分のキャリアの海外プランを確認する。足りなければeSIMを1枚買っておく。保険にVPNを入れておく。 これだけで、中国でのネットに困ることはまずなくなります。
準備を済ませて、快適な中国旅行を楽しんでくださいね😊
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画像クレジット: Wikimedia Commons — 深圳・福田の夜景: Vikarna (CC BY-SA 4.0) / SIMカードトレイ: Tony Webster (CC BY 2.0) / 中国移動の店舗: 茅野ふたば (CC BY-SA 4.0) / 深圳の中国聯通ショップ: Haxyatamngu Luuo (CC0) / 深圳宝安国際空港 到着ロビー: 颐园新居 (CC BY-SA 3.0)